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税理士事務所を開業して良かったことと大変なこととは?

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書いた人: 高田 寛
2018.10.03

私が税理士事務所を開業してから2年半が経ちますが、開業しなければ良かったと思ったことは一度もなく、大変なことはありますが良かったことの方が多いと感じています。

税理士事務所を開業してからを振り返り、良かったことと大変だったことをまとめてみました。

【税理士事務所を開業して良かったこと】

・組織に縛られない

税理士事務所を開業して最も良かったこととして、「組織に縛れない」という点を挙げる人が多いです。実際私もそう感じています。

特に、勤務時代に組織のしがらみの中で我慢することが多かったり、自分の意志と反することをしなければならなかったりする経験があると、より開業した時の自由度を感じるかもしれません。

自分で全てを判断できるというのは、ストレスが少ないですし、上司に確認する必要もないため意思決定が早くなります。また、方向性をすぐに変えて行動できるメリットもあります。

・顧客が自分のお客さんということでのやりがい

勤務時代は、自分が担当の顧問先であっても、自分のお客さんではなく、「所長のお客さん」でした。また、勤務時代はお客さんを自分で決めることはできません。

税理士事務所を開業すると、「自分のお客さん」となり、「お客さんは自分で決める」ことができます。この「仕事の選択の自由」というのうは、仕事のやりがいに直結します。

税理士事務所開業当初は、なかなか仕事を自由には選べないかもしれませんが、自分がサポートをしたいと思う会社や個人の方とだけ契約できる権利があるというのは、非常に大きなメリットと感じています。自分の仕事に対する価値観を大切にできるからです。

お客さんに対しても、自分の価値観に沿って一貫した対応をとることができ、それがお客さんから感謝されることにつながると、よりやりがいが出てきます。

・時間と場所にとらわれずに仕事ができる

勤務時代は、休日に仕事をするというのは辛い感覚がありましたが、税理士事務所を開業してからは、労働という感覚が薄れたため、仕事をしている時間が勤務時代と変わらなくても、辛いと思うことは少ないです。これは、売上の増加がそのまま自分の収入の増加につながっているからかもしれません。

また、勤務時代は仕事をする場所は職場か顧問先しかありませんでした。しかし、税理士事務所を開業してからは、朝カフェで仕事をしてから事務所に行ったり、自宅で夕食後にメールの返信をしたりと柔軟に仕事をしています。良し悪しはありますが、私は仕事とプライベートの境目が無くなっている今の状態の方が気に入っています。

 

柔軟に仕事ができるようになったことで、勤務時代とは寝起きの気分が違います。勤務時代は朝起きて電車で職場に向かうときに、「あれもこれもやらなきゃ」という頭になっていましたが、税理士事務所開業後は「あれもこれもやりたい」と思えることが増えてきました。

【税理士事務所開業して大変だったこと】

・食べていけるかどうかの不安

税理士事務所を開業した時にも、最も不安だったことは「この先食べていけるのか?」ということでした。

私の場合、顧問先ゼロからの開業でしたので、開業して半年間は税理士事務所でアルバイトをしていました。また、この時に銀行から300万円の借入をしました。

ただこのような経験は、創業支援でお客さんとお話するときに、「私も創業当初苦労しました」と実体験でお話できているので、当時は大変でしたが、今となっては良い経験だったと思っています。

・試行錯誤の営業活動

勤務時代は、事務所の看板で仕事をしていため、あまり意識にもありませんでしたが、いざ独立すると、目の前の景色が変わります。「たくさんいる税理士のうちの一人」というポジションになるからです。自分の色を出して営業活動していく必要があります。

私は税理士事務所開業前に営業活動の経験は多くはありませんでしたので、営業方法は確立しておらず、HP、DM、交流会、セミナー開催、ブログ、他士業と連携など様々試して試行錯誤をしていました。

 

・自律が必要

税理士事務所を開業すると、誰からも何も言われない状態になるため、自分で自分をコントロールする必要があります。

勤務時代と違って何かあってもすぐに相談できる人はいません。私の知り合いでも、税理士事務所を開業してからしばらくは仕事も少なかったので毎日お昼過ぎまで寝ていたという人もいました(笑)

仕事の自由度が高くなる分、「やること」「やらないこと」など自分なりのルールを決めおかないとズルズル生活してしまう可能性があるので注意が必要でした。

税理士事務所を開業して良かったこと、大変だったことをひととおり挙げてみましたが、最近創業支援をしていてよく思うのが、税理士は圧倒的に独立しやすいということです。

他の一般事業会社のサラリーマンですと、独立はすごくしたいけれど、どんな仕事で独立しようか迷っている、という方がたくさんいます。

しかし税理士の場合、資格を取って独立する時点で既に分野は決まっており、国家資格で知名度が高いので、何の仕事をしているのかを細かく説明しなくても良いというメリットがあります。

他の一般事業会社ですと、まず自分が何の会社なのかをこと細かく説明するところから営業しなくてはいけません。

私は税理士事務所開業の準備にじっくり時間をかけて勤務時代を過ごすよりも、独立しながら試行錯誤した方が軌道に乗りやすいのではと考えています。(もちろん資金の工面は必要ですが。)

独立するときは海に飛び込むような気持ちになると思いますが、いざ独立すると後は必死になって泳がざるをえない状況になります。自分の気持ちを信じて最初の勇気だけ振り絞って、後は泳ぎながら考えるぐらいの勢いも必要だと感じています。

既に税理士事務所開業して軌道に乗っている税理士も、必死になって泳いだ時代があったはずですので、独立を迷われていたらぜひ相談してみましょう!

次の記事 → 税理士事務所をどの地域で開業すれば良いか?

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この記事を書いた人
高田 寛
高田 寛

高田寛税理士事務所 代表税理士

埼玉県立春日部高等学校 卒業
立教大学 経済学部 会計ファイナンス学科 卒業
立教大学大学院 経済学研究科 経済学専攻 修了

大学卒業後、大手会計ソフト会社の(株)TKCに入社し、営業・システムコンサルティングを2年経験する。その後税理士試験受験専念を経て、25歳で税理士事務所に転職し28歳の時に税理士登録。複数の税理士事務所で実務経験を積み、「好きなことをして生きていく」決心をし、30歳で独立。

著書に「会社の資金繰り 絶対!やるべきこと 知っておくべきこと(資金繰りを支援する税理士の会)」(あさ出版)、執筆原稿に「企業実務」(日本実業出版社)がある。

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